飛べなかった揚羽ちゃん
今朝 揚羽ちゃんが死んでいた。
羽化したものの羽が不完全で、飛び立てない為、飼育していた揚羽蝶である。
揚羽蝶になってからは4日間の命だった。
蝉 程では、ないにしろ、揚羽蝶も成虫になってからは、そう長くは生きられない。長くて2週間位という。
私の手の上を、腕の上を 元気に歩き回っていたコである。
レモンの葉の敷布団、キンカンの葉の掛け布団に寝かせて、牡蠣の貝殻の上に乗せ、白いペチュニアの花を添えて、柚子の芽のある植木鉢に置いている。
中学生の頃、文芸部に属していた。
その時知った詩に 「ぐりまの死 」がある。
ぐりまの死/草野心平
ぐりまは子供に釣られてたたきつけられて死んだ。
取りのこされたるりだは。
菫の花をとつて。
ぐりまの口にさした。
半日もそばにいたので苦しくなつて水には入つた。
顔を泥にうづめていると。
くわんらくの声々が腹にしびれる。
泪が噴上のやうに喉にこたへる。
菫をくはへたまんま。
菫もぐりまも。
カンカン夏の陽にひからびていつた。
14才の頃の私にとって 印象的だった。
ぐりま とは蛙の事である。
くわんらくとは、歓楽、周りの蛙たちの元気な鳴き声である。
るりだ とは、ぐりまの恋人である。
蛙の命
揚羽蝶の命
人間の命
永遠の命なんて無い。
今ここを生きる事。
ふと蝉の鳴き声が聞こえて来た。
さっきまでも鳴いていたであろう蝉時雨だ。
蝉も1匹1匹それぞれの今を懸命に生きている事に気がつく。
人の五感も、気持ちの集中力も不思議な感じがしました。
ブログ、読んでくれた人、ありがとう。
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